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■負け犬たちのチャイコフスキー■
2012-04-24-Tue  CATEGORY: 趣味とか

「オーケストラ!を観てしまった件」

毎度々、エロとかフィギュアの話題ばかりでは、生まれも育ちも良いハイソな人生を満喫している編集長の人柄と人生観を疑われそうなので、まともな映画の話題をひとつ

120424a邦題「オーケストラ!」原題「Le CONCERT」
物語は現代のボリショイ劇場(モスクワ)で始まります。楽団がリハーサルをしている場内の片隅で初老の男が独り、陶酔するように指揮者がタクトを振る真似をしています
彼、アンドレイ・フィリポフこそ物語の主人公にして劇場の清掃人。今でこそ支配人に罵倒される惨めな境遇ですが、30年前には劇場専属管弦楽団の名指揮者として西側にまで名を知られた人物でした。アンドレイはソ連政府によるユダヤ人の排斥運動に逆らったとして仕事も名誉も全て剥奪されたのです
ある晩、残業で支配人の部屋を掃除しているとき、パリの劇場から出演以来がFAXで届きます。それを見たアンドレイは昔の仲間(30年前に楽団を解雇された演奏家たち)を集めてボリショイと偽り再び劇場で指揮をすることを企みます

太っちょのチェロ奏者サーシャ(現・救急車運転手)、衰退した共産党を蘇らせようと奮闘しているイワン(30年前の敏腕楽団マネージャー)を仲間に引き入れ、まんまと出演契約を交わしてしまいました

ここからが大騒動。公演日までの2週間で最低でも55人のメンバーを集めなければなりません。アンドレイとサーシャは昔の仲間を訪ねて歩く日々が続きます
楽団を追い出されても音楽を棄てなかった者もいれば、昔日の恨みをアンドレイにぶつける者もいます
それでも実力は折り紙付きのメンバーが再集結していく様子は、黒人ソウルミュージック再生のきっかけとなった映画「ブルースブラザーズ」を彷彿させます

渡航費の不足、楽器の調達、パスポートの問題など困難を乗り越えた末に、アンドレイと仲間たちは憧れの都パリに降り立つのです

さてここで物語のもう一人の主人公、バイオリン・ソリストのアンヌ・マリー・ジャケが登場します。彼女は生後すぐに両親と別れており自らの出生に関して知らぬまま生きてきました。バイオリン・ソリストとして名声を確立した現在では非常に高額な出演料を得ているのですが、長年ボリショイとの共演を夢見ていたため、往年の名指揮者アンドレイ(偽ボリショイ)との共演を快諾したのです

しかし共演を切望していたのはアンドレイも同じでした。その理由の一端がアンヌとの会食で明らかになるのですが、アンドレイがユダヤ人メンバーを守った理由が実は別にあったことも明かされます。彼の苦悩と「チャイコフスキー・バイオリン協奏曲」への30年の確執を知ったアンヌは失意のうちに共演キャンセルを口走ります

アンヌを説得するためにホテルを訪ねるサーシャ
たどたどしいフランス語で「コンサートを最後までやり通せば両親のことが分かるかもしれない」と聞き、迷いのあったアンヌは再び舞台に立つことを決意します

楽団のメンバー殆どが酒を呑みに行ったまま(当日の開始直前まで)行方不明になってしまったためリハーサルも出来ず、30年ぶりのオケにブッツケ本番で挑むアンドレイと楽団のメンバー、そしてアンヌは無事に公演を成功に導くことが出来るのか?

…かなり簡略化していますがストーリーはこんな感じです

この映画の魅力は、なんといってもクライマックスの「チャイコフスキー・バイオリン協奏曲」演奏シーン

メンバーの遅刻とか、リハを出来なかったとか、舞台の地下で騒いでいる本物のボリショイ支配人とか、そもそもタクトを振るのが30年ぶりとか…不安要素が山積みなのですが、チケットが発売数時間で完売してしまうほどの盛り上がりを突きつけられて、アンドレイも仲間たちも、とにかく始めるしかありません

アンドレイの指揮棒が振られ、静かに奏で始めるオケ…
案の定、メンバーの音が合わず、開始早々大コケの死亡フラグが立ちまくり!
観客席には失笑が広がり、楽団のメンバーも不安げな様子で戸惑っています。画面を見ているこちらが冷や汗をかいてしまいますよ

しかし次の瞬間、オケの楽器が一瞬鳴りやんで、アンヌのバイオリンが曲に交わります

そのソロ演奏の素晴らしいこと!

観客達の表情も引き締まり客席は身動き一つしなくなりました。アンヌのソロに導かれるようにオケの楽器が音を合わせます。瞬く間にオケとソロは一つとなり開始早々のチグハグな楽団は姿を消してしまいました
このように描写すると、ご都合主義炸裂な感じですが、アンヌのバイオリンがオケのメンバーを一つにまとめることが出来たのにはキチンとした理由があるのです。それは彼女がアンドレイを30年間縛り続けた「ある物」を携えて舞台に立ったからであり、パリで散り々になった楽団メンバーが戻ってきた理由でもあったです

そして曲と共に語られるアンヌの秘密。「チャイコフスキー・バイオリン協奏曲」が30年間もアンドレイに呪いのように取り憑いていた理由…全ての謎が明らかになります

演奏は、ひときわ美しく輝かしくなり、楽団の動きは一筋の乱れもなく、曲が進むにつれてメンバーの表情も自信と誇りを取り戻してゆきます。特に終了間際のサーシャの表情は本当に輝かしいです

最初はとても不安気だったアンヌの表情も、進むにつれて穏やかになり、アンドレイと視線を交わすごとに、喜びと互いの信頼を増していきます

そして…全ての楽器が高らかに鳴り響き… フィニッシュへ!

自分は画面を見ている視聴者にすぎないのに、全身を高揚感が走り抜けるのを確かに感じました。なんと素晴らしい演奏だったことでしょう…このクライマックス「チャイコフスキー・バイオリン協奏曲」を聴くためだけにでもお薦めします

映画そのものはコメディであり、登場人物たちの引き起こすドタバタも大きな魅力です。パリに着いたとたんにキャビアの行商を始める親子、党の秘密ファイルに情報が記載されているレストランでの食事を夢見るイワンとその顛末、空港で偽造パスポートの製造を始めるジプシーのオッチャン、笑いのポイントは数多く、欠伸なんかしている暇は一瞬もありません

冷戦時代の不幸な出来事で「負け犬」の烙印を押されたアンドレイと仲間たち

その彼等がパリの大舞台で、本家のボリショイ楽団を凌駕するような公演を実現する「負け犬たちの意趣返し」。先に書いた「ブルースブラザーズ」のクラシック版とも言えるこの映画「オーケストラ!」

観て笑い、聴いて心に至福をもたらす楽しい作品です


『オーケストラ!』 ラデュ・ミヘイレアニュ監督にインタビュー
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